“留学”と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
語学取得や、スポーツや音楽などの才能を磨くために海外へ…というのが一般的ですが、“駅前留学”なんてスタイルも流行しましたね。
しかし、今、留学のトレンドは“地方”なんです!
NPO法人Etic.(エティック)が行っている『地域ベンチャー留学』は30日間の実践型インターンシップ。地域の課題解決や地域資源の有効活用を目的として、地方の中小企業がインターンの受け入れを行い、学生たちにチャレンジの場を提供します。
(参考サイト http://cvr.etic.or.jp/)
インターンシップを課外授業と捉え、参加することで単位が取得できる大学もありますが、『地域ベンチャー留学』に参加する学生たちは、単位取得のためというより、スキルアップや都会では得ることのできない体験を重視して参加します。滞在中の家賃については助成がありますが、食費などの生活費は自腹。地元の人にしてみれば「こんなところに来たって、何にもない」という田舎こそ、若者にとっての宝島。自らの時間とお金を使ってでも行きたい“留学先”なのです。
この夏、四国の右下エリアに参加した学生は8名。
受け入れ先企業と取り組んだ課題は次の通りです。
■株式会社大竹組
大竹組の魅力を徹底インタビュー&地元学生への発信プロジェクト!
■株式会社あわえ
産直レストランodoriを舞台に地域産品のブランディングや地域広報に取り組もう〜with 美波クリエイターズスクール
■株式会社オオキタ
買物難民支援と、おはあちゃんたちの「コンシェルジュ」プロジェクト
■株式会社 トータス
“人にも自然にも優しい次世代の衣作り”のPRツールをつくる!
彼らがこの夏、どんな体験をしたのかを知るべく、『株式会社オオキタ』のプログラムに参加した早稲田大学2年の鈴木総一郎さんと東洋大学2年の田中綾華さんの最終プレゼンテーションにお邪魔しました。

『オオキタ』は地元のスーパーマーケット。町の高齢化に伴い、店舗へ来ることが難しい“買い物難民”のため、小型車1台に生鮮食料品や生活用品など約1500点を積んで自宅の庭先まで販売に来てくれる移動スーパー『とくし丸』も取り入れています。
(とくし丸についてはコチラ 参考サイトhttp://www.tokushimaru.jp/)

「買物難民支援と、おはあちゃんたちの「コンシェルジュ」プロジェクト」という課題解決のため、『とくし丸』にも同乗した二人。そこで感じたのは一対一の対面販売が築く信頼関係と、地域のコミュニティーに根付いた安心感がもたらす買い物満足度。
東京でも「スーパーでアルバイトをしている」という田中さんは「よりよいサービスとは、品揃えの多さや便利さだと思っていた」と話し、陳列棚の高さや通路の広さ、買い物途中に高齢者がちょっと座れるスペースを設けるなどのなど店舗のハード面についても提案。
『とくし丸』が地域の課題解決とビジネスとして成功していることに着目し、志願した鈴木さんは、衛生面や欠品の際の入荷情報、ポイントカードなどすぐにでも改善できるソフト面での提案も行いました。
日頃スーパーを利用する生活者の視点にそった提案の数々はどれも素晴らしく、同席した『オオキタ』の福山部長も感心しきり。
その様子をあたたかく見守っていたのが、彼らが滞在中のお世話をしていた石本さん。「最初、『フィリピンの山奥に来たみたい』って言われてショックだったんですけど、たくましくなったと思います。『虫が出る!』とか『クモが…』って騒いで、都会の子やなって思ってたんですが、よく頑張ったと思います」と評すると、
「インターネット調べて、頭でわかった気になっていました。自分の目で見て、感じて知ることの面白さを体験できました。努力といえばこれまで自分のためにしかしてこなかったけど、『オオキタ』さんのために社会人として努力できたような気がします」と鈴木さん。
田中さんは「石本さんに『ムリって言ったらそこで終わってまうやろ!』って言われて、あきらめずに具体的な提案をすることの大切さを教えてもらった。東京に戻ってからも自分に何ができるか、考えたい」と話しました。
『地域ベンチャー留学』は全国で約10地域が実施しています。四国の右下エリアでも引き続き来年もインターン生を募集する予定。チャンスがあれば、ぜひ、参加してみてください。