徳島県では移住者と地域とのスムーズなマッチングを行うため、地域との繋ぎ役となる「移住コーディネーター」を育成しています。
昨日行われた研修会と移住コーディネーター認定式に行ってきましたので、その様子を紹介します!
令和2年度とくしま移住移住コーディネーター育成研修会
主催:徳島県政策創造部 地方創生局 とくしま回帰推進課
日時:2021年3月1日(月) 14:10~15:00
場所:徳島グランヴィリオホテル 1F グランヴィリオホール
〇研修会プログラム
【講義1】
演題:大阪から見るコロナ渦における移住
講師:特定NPO法人100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター
大阪ふるさと暮らし情報センター 所長 山口 勝己 氏
【講演2】
演題:移住者の受け入れについて
講師:徳島県移住アドバイザー 小林 陽子 氏
【講演3】
演題:移住コーディネーターの活動について
講師:三好市移住コーディネーター 元木 香織 氏
大阪から見るコロナ渦における移住
シティプラザ大阪1F『大阪ふるさと暮らし情報センター』所長の山口さんは 大阪での相談状況に基づき、3つのトピックで講義された。
まず1つ目は新型コロナウイルス感染拡大以降の移住相談件数が、増加傾向にあることについて。
コロナウイルスの影響で、臨時休業や移住イベント・セミナーの中止を余儀なくされ、見学やセミナー参加者は激減している一方、電話・メール相談は増加。
面談も緊急事態宣言発令中を除くと増加傾向にあるのだとか。
2つ目は移住希望者の属性と志向の変化について。
「無職」と「単身移住」の相談者が増加し、移住後の仕事として就農を希望する傾向が高まっているとのこと。
また「理想の生活」を求め、地方移住を考える人が増えているのではないかと考察されていました。
最後にポストコロナの移住相談について。
コロナ禍でZoomなどオンラインによる相談環境が各地に整備されたことにより、今後、大阪の相談窓口で対面相談をしながら、各市町村とオンラインでつなぐことによる、ハイブリット面談の推進を考えているとのこと。オンラインだけでのやり取りよりもスムーズかつ、安心感をもって相談者も話ができるはず、とお話されました。
移住者の受け入れについて
徳島県移住アドバイザー小林 さんは、自身が長く移住定住サポートに関わってきた経験から、移住コーディネーターとして活動する上で気を付けてほしいことを3つのポイントで紹介。
①自分の担当する地域のことを隅々までよく知ること。
まず必ず必要なこととして、提供できる空き家の状況を把握すること。家の位置だけでなく、ご近所さんやその集落の集まりや地域のお祭りのことなど、すべてを知った上でどういう人がその地域に入ったらいいか、どんな人ならその場所でやっていけるかを考えておくことを提案。可能であれば、住まいだけでなく仕事に関してもハローワークから情報を入手するなど、地域内で働ける仕事、通勤県内の近隣市町の仕事などできる限り情報を集めておくとよいとアドバイス。
②相談の際には、出来る限り詳細にヒアリングする
移住希望者の多くは自分の過去や状況について、すべては話したがらない。そのため回数を重ねて信頼関係を築きながら、小さなことも聞きとることが大切。田舎での生活はどんなことがトラブルにつながるかわからない。移住者はそのことに気付かないので、なるべく先回りして話を聞くことが大切。
③移住者の自立のため、深入りしないようにする
移住の仕事はいろいろな人の人生の転機に立ち会うことができ、やりがいがあり、楽しいと感じることがよくある。ただ、自分も気づかないうちに移住者の世話にのめり込み過ぎて、過度な期待がお互いに生じ、依存する関係になってしまうことも。可能な限り役場担当者や地域の人々など、頼れる相手を分散させることが大切。決して見放すということではなく、移住コーディネーターは本当に困ったときの最後の砦として、頼られる存在になれることが理想。
移住コーディネーターの活動について
三好市の現役移住コーディネーターである元木さんからは、移住コーディネーターとしての実際の活動内容の紹介と、活動を通して得られたこと、そして注意点について。
三好市移住コーディネーターは三好市役所地方創成推進課に在籍し、移住相談対応や空き家バンクの運営を担当。三好市の各課にまたがる移住支援制度や補助金情報のとりまとめや、『三好市移住ガイドブック』の製作を監修し、お試し住宅を活用した移住体験ツアーの企画・開催なども元木さんが行っています。
三好市の各地の特徴を「ガチ秘境」「プチ秘境」「まちなか」「田園地帯」というキャッチーな分類で説明され、移住者にも分かりやすく、イメージが掴みやすいと好評とのこと。
様々な地域活動を行う中で、地域との繋がり、信頼関係を築くことができたと話し、「移住コーディネーターで一番大切なことは地域に出ること。移住コーディネーターの仕事は一人ではできない、地域の方の協力が不可欠」とメッセージを送りました。
地域と移住者の関わり方についても「まず前提として、地域の主体は『地域住民』。多様な価値観を持つ移住者に地域の変化を期待することはできても、移住者だけに頼ってはいけない。生き生きとした地域があってはじめて、移住者が新しい風を吹かせ、地域がより良い方向へ向かうことができると信じている」とお話されました。
短い時間でしたが、3人の講師の方達から、非常に中身の濃いお話を伺うことができました。
新らしく移住コーディネーターとして認定された人達も、3人の講師のように、移住者のサポートに尽力してくれることと思います!