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きゅうりタウン構想の10年

2026.03.27

  • 海陽町
  • 牟岐町
  • 美波町

徳島・海部エリアはきゅうりの名産地

宮崎、群馬、高知と並ぶ全国有数のきゅうり産地・徳島県。その中でも、冬場の日照時間が長い海部郡は、ハウスを使った促成きゅうり栽培が盛んでした。しかし少子高齢化により、きゅうり農家は激減。そんな中、2015年に始まった起死回生の一手が「きゅうりタウン構想」でした。

 

若い力で農業を元気に!「きゅうりタウン構想」とは?

今から約10年前の2015年。ピーク時の4分の1にまで減ったきゅうり農家をどうにかしようと、地域の未来を見据えてスタートした「きゅうりタウン構想」。美波町・牟岐町・海陽町の3町とJAかいふ、徳島県がタッグを組んで、「海部次世代園芸産地創生推進協議会」を立ち上げ、次の3本柱を立て、一大プロジェクトが始動しました。

  • 新規就農者を育てる「海部きゅうり塾」
  • 最新技術で育てる「次世代園芸実験ハウス」
  • 自立経営をサポートする「経営支援体制」

面積・収量・所得すべてで大きな飛躍を目指ざそうと、10カ年計画でプロジェクトが始動しました。

 

技術もシェア!新規就農者にもやさしい農業スタイル

県南部はかつて、空きハウスも多く、それらを活用した土耕でのきゅうり栽培が検討されていましたが、新規就農のハードルを下げようと、養液栽培という新しい手法にシフト。気温や湿度管理など、「経験」と「勘」が頼りだった促成きゅうりの栽培を、温度や水やりを自動で管理でき、データ分析も行える「次世代園芸実験ハウス」で実施することに。ベテラン農家の方たちのノウハウも共有し、初めて農業に関わる移住者や女性も安心して就農できる環境作りを行いました。

 

農業も経営力がカギ!“農業で暮らす”という選択を、もっとリアルに

「農業は若さと体力があれば、何とかなる!」──そんな勢いだけで就農する人がいないよう、海部きゅうり塾ではしっかりと現実を伝え、1年かけて、栽培方法はもちろん、経営計画やGAPなども学びます。「どうすれば収量が増えるか」「販売ルートをどうつくるか」など、経営の視点を重視し、農業は「キツい」「儲からない」といったマイナスイメージを払拭。「30 aで年収1000万円」を目標に掲げ、今の時代に合った新しいスタイルの確立を目指しました。

新規就農にかかる費用は、軽トラの購入から設備投資まで、ざっと1000万円。「就農移住には500万円程度の自己資金があると安心」など、金銭面のアドバイスも含め、夢だけではなく、現実的な計画と準備をして臨めるよう、「海部きゅうり塾」では丁寧なサポートを行っています。

 

2026年 きゅうりタウン構想の今

地域農業の再生と持続的な産地づくりをめざして進められてきた「きゅうりタウン構想」は、2026年を迎え、着実に成果を積み重ねています。養液栽培の定着や栽培面積の拡大、新規就農者の育成、そして所得向上といった複数の取り組みが連動し、地域に新しい農業モデルが生まれつつあります。

まず大きな成果として挙げられるのが、養液栽培の定着と収量の向上です。実験ハウスでは、養液土耕や複合環境制御といった先進的な栽培技術が導入され、温度・湿度・養分を細かく管理することで、冬春栽培において年間29t/10aという高い収量を達成しました。これまで経験や勘に頼る部分が大きかったきゅうり栽培に、科学的な管理手法が取り入れられたことで、生産の安定性と効率性が大きく向上しています。

栽培面積の拡大も順調に進んでいます。当初5.6haだった栽培面積は、目標の10haに向けて施設整備と技術普及が進められ、現在は7ha前後まで広がっています。複数の新団地も整備され、地域全体で生産体制を強化する動きが進んでいます。統一された栽培技術の導入により、安定した品質と出荷量を確保できる産地としての基盤が整いつつあります。

この構想を支えているのが、新規就農者の育成と定着です。人材育成の拠点である「海部きゅうり塾」では、第1期から第5期までに累計24名を受け入れ、そのうち16名が実際に就農しています。担い手不足が深刻化する中で、若手農業者が地域に根付き始めていることは大きな成果です。きゅうり農家の平均年齢も、2014年の66.9歳から2021年には55.2歳へと大きく若返っており、次世代へのバトンタッチが着実に進んでいます。

さらに、収量向上と技術導入は所得の改善にもつながっています。きゅうりタウン構想では、30aあたり所得1000万円超を目標としており、高収量栽培や環境制御技術の導入によって、収益性の高い農業経営が実現しつつあります。農業を安定して収入が得られる仕事として確立することで、新たな就農希望者を呼び込み、地域の活力を高める好循環が生まれています。

きゅうりタウン構想は、単なる農業振興策にとどまらず、技術・人材・経営を一体的に整備する地域づくりへと発展しています。栽培技術の高度化、面積拡大、人材育成、所得向上という四つの柱が相互に支え合いながら、持続可能な産地形成が着実に進んでいます。2026年現在、きゅうりタウン構想は地域農業の未来を切り拓くモデルとして、次のステージへと歩みを進めています。

 

★おまけ

一度見たら忘れない。きゅうりドック、食べてみて!

きゅうりタウンのきゅうりを使ったご当地グルメも誕生しました。その名も「きゅうりドッグ」。特産のきゅうりをまるごと1本、ホットドッグ風にパンで挟んだ、インパクト抜群の一品です。

見た目のユニークさだけではなく、その美味しさにも驚くはず。浅漬けにしたきゅうりと、ほんのり甘いゆず味噌との相性も抜群。
きゅうりジャムもあるので、お土産に、ご自宅用にぜひお買い求めください。

 

◆きゅうりドッグの購入先
houraido
住所:徳島県海部郡海陽町奥浦町内200 ショッピングセンターピアカイフ内
アクセス:阿佐海岸鉄道海部駅から徒歩5分
徳島ICから車で約120分

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