好きなまちで仕事をつくるin四国の右下レポート



2019年2月9(土)、徳島県南部総合県民局301会議室にて、『好きなまちで仕事をつくるin四国の右下~ 第4回 ミニプロジェクトの実践講座~』が行われました。この講座は地域資源を活用し、新しく事業を立ち上げたいと考えている人を対象としたローカルベンチャースクール。大学生を含む17組が参加し、新規事業や新プランを練っています。第4回目は3分間で事業プレゼンを行い、3月2日(日)に迫った『事業プランの体験型交流会』に向け、一般の人に向けた事業PRについて、アドバイザーの方達の意見も参考にしながら、最終調整を行いました。

アドバイザーとして相談に応じるのは『合同会社杉の子』の桑高仁志さん。那賀町の地域おこし協力隊を卒業後起業し、那賀町木沢でゲストハウス『杉の子』を経営。「日本最後の秘境」、「阿波のチベット」といわれる山深いゲストハウスに外国人が続々訪れ、昔懐かしい雰囲気とホスピタリティで、『Airbnb』ではスーパーホストに!

もう一名、徳島県西部から三好市地域おこし協力隊の井上琢斗さんもアドバイザーとして参加。体験および教育旅行を行う観光業『AWA-RE』の共同創業者で、地域の企業や団体の課題解決や新しい挑戦をピックアップし、若者がチャレンジできる場をコーディネートするインターンシップコーディネート業に従事をされています。

現在予定されている事業プランは「藍染めの染料キットの販売事業」や、古民家で抹茶や和菓子がいただける「和風カフェ事業」、牟岐の農業を支えるため、特産のもち麦のうどんを提供しながら地域の魅力を食を通じてPRする「まちの活性化事業」など。この講座から生まれた17の事業を食べて、飲んで、体験できる『事業プランの体験型交流会』は誰でも参加OK!四国の右下で生まれる新事業、一番最初に見てみませんか?

事業プランの体験型交流会~四国の右下DEMO DAY~
3/2(土)13:00~18:00
場所 徳島県南部総合県民局大会議室
参加費 無料
定員 50名(先着順)
申し込み方法 「好きなまちで仕事をつくるin四国の右下」の申し込みフォームにて受付

http://www.etic.or.jp/shikokunomigishita.jp/

※会終了後、軽食交流会あり。参加費は1500円。

お問い合わせ
NPO法人ETIC.(エティック)担当:渡辺・山口
〒150-0041 東京都渋谷区神南1-5-7 APPLE OHMIビル4階
TEL:03-5784-2115 / FAX:03-5784-2116
Mail:challenge-community@etic.or.jp

 

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有名起業家が続々登壇!
第4回は『株式会社瀬戸内ジャムズガーデン』の松嶋さん

この講座の魅力は、地域の可能性とアイデアで事業を立ち上げた、地域おこしやまちづくりの分野でその名を知られる有名起業家による講座も聞けること!過去の回ではローカルベンチャーの仕掛け人『エーゼロ株式会社』の牧大介さんやベンチャー企業の成長支援実績多数の『株式会社エリオス』杉浦元さんが来県し、講演後は参加者に直接アドバイスも。

第4回のゲスト講師は『株式会社瀬戸内ジャムズガーデン』代表取締役 松嶋 匡史(まつしま ただし)さん。「日本一高齢化率の高い山口県周防大島町」、「作っても売れない商品群に属するジャム」などの数々のマイナス面を、柔軟なアイデアと地域の人たちとのつながりで、次々とプラスに変えていった軌跡を辿りながら、「地域で仕事をつくること」についてお話いただきました。起業する人もそうでない人にも役立つ、その講演を編集して紹介いたします。

※松嶋さんが暮らす山口県周防大島町は昨年10月22日、周防大島と本州を結ぶ大島大橋に大型貨物船が衝突し、橋が損傷。物流や観光、ライフラインなど島での暮らしすべての面で打撃を受けました。1カ月後断水も復旧しましたが、周防大島の産業はいまだに大変な状況です。興味を持たれた方は下のサイトをご覧いただき、ぜひ応援ください。

がんばろう!!周防大島

https://peraichi.com/landing_pages/view/161p3

瀬戸内ジャムズガーデン

http://jams-garden.com/

 


 

地域で仕事をつくること

 

高齢化率日本一の島山口県周防大島

山口県の周防大島(すおうおおしま)から来ました『瀬戸内ジャムズガーデン』の松嶋と申します。私自身、2007年に周防大島に移住した移住組で、この事業を始めたのもその頃です。

周防大島は最近、ニュースで取り上げられることが多くて、例えば2歳の子供が行方不明になってスーパーボランティアが見つけたという事件や、大阪府警富田林署に拘留中だった青年が逃走し、1ヵ月近く潜伏していたのも周防大島。一番最近だと、周防大島と本州を結ぶ唯一の橋で、大島大橋というのがあるんですが、その橋にドイツの大型貨物船が衝突し、車の往来もライフラインも全部止まったニュースはご存じですか? 1ヵ月半くらい断水が続きまして、復旧しなければここにも来られないところでしたが、今はだいぶ元に戻りつつあります。

主産業は温州みかんを中心とする柑橘栽培。山口県の約8割の柑橘を栽培しています。そのため当然、柑橘農家が多いのですが、実は周防大島は「高齢化率日本一」だった島で。みかん産業が儲からないから農家さんたちは自分の息子さんたちに「もう帰ってこなくていいよ」と言って、都会の大学、都会の会社へやって家業を継がせなかった。そのため若者の層がズドーンといなくて、島出身の人が定年退職で戻ってきて、年金生活をしながら、みかんを作っているレベルの産業になってしまっていました。

そんな島で『瀬戸内ジャムズガーデン』というジャムを作る会社をやっていまして、年間15万本くらいのジャムを作って販売しています。家族構成は妻と2人の子供。妻の実家が浄土真宗本願寺派のお寺で、妻が住職なので、妻の両親と三世代でお寺に住んでいます。

もともと僕は京都生まれ、京都育ち。電力会社に11年勤めて、2年間はベンチャー企業の社長の鞄持ちをしていました。2007年に島に移住して、耕作放棄地などを借りて農業部を立ち上げてから、「島に若者が誰もいないじゃないか!」ということに気づきました。移住する前、誰も「高齢化率日本一」ということを教えてくれなかったので、移住してから「一緒に仕事をするような若い人が誰もいない・・・」ということに気づき、じゃあ、「島に人を呼び込もう」と町の定住促進協議会と民間で移住者を応援する会「島くらす」を立ち上げました。

だけど農家さんたちが子供に家業を継がせないように、移住して農業をやりたいって人を連れてきても、収入が少なく食べていけない。そこで収益率を高めるために、観光客に来てもらって、その人達に直接販売するような、利益率のいい農業や産業のカタチを作ろうと思い立ちました。そうすると観光にも関わらないといけないので、観光協会にも入れていただき今では観光協会の副会長もやっています。

とはいえ起業する人を増やすとはいっても、僕のような移住者を呼んでくるというのは、実は非常にハードルが高い。なぜなら地域の人間関係がわかっていなくて、いきなり起業すると地域内では「アイツはなんだ!」ということになりかねない。それならもっと地元の人に起業してもらえるようにしたほうがよいわけです。うちの島はどんどん高齢化しているので廃業が増えていて、地域の中で起業してくれる人材を生まないと地域の元気がなくなっていく。特に子供達の頃から起業が当たり前と思えるような社会を作りたいと思い、最近では山口県のキャリア教育推進会にも委員として参加させていただき起業家教育活動もやっています。

 

なぜ、ジャム屋になったのか?

「なぜ、ジャム屋なのか?」という話に戻りますが、実は新婚旅行でパリに行ったことがきっかけです。妻に「アクセサリーを買いたいから、隣の店にでも入って待ってて」と言われ、入ったのがジャム屋で。壁一面にジャムが並んでいたのですが、ラベルに書いてあることが、全部違うのです。それがオモシロいな~と思って、お土産に変わったものを買って帰ろうと思っていたので、いくつか買って帰りまして。ナニか分からない物を友達に配るのは良くないので、ちょっと開けてみよう・・・と思ったらどんどん興味をひかれてしまって、結局あげる予定だった分をパカパカと開けてしまって、仕方ないので、友達にはお取り寄せのチョコレートを配りましたが、そのときが2001年です。

最近でこそいろんなジャムがありますが、当時はまだブルーベリージャムとかイチゴジャムしかなくて、マーマレードも何の柑橘かは書いていない。そんな均一なものしかなかったので、パリのようにいろんな味があるのが、オモシロい!と思いました。ベンチャー企業に行っていたこともあり、「事業を興すのはめちゃめちゃオモシロい」と思っていたことと、妻が三姉妹の長女で、妻のおじいちゃんが亡くなって、お父さんだけでお寺を切り盛りするのは大変だな・・・というタイミングが重なって、会社を辞めて「周防大島でジャムを始めよう」と思ったのが、ジャム屋になった経緯です。

ちなみに移住したのは2007年。2007年というのはiPhoneが発売になった年ですが、今でこそ携帯で物を買うのが当たり前だったり、SNSで投稿するのが当たり前と思うのですが、これより前は当たり前じゃなかったですから、時代が大きく変わったのがこの頃。

僕が移住した時、島の人口は2万2000人だったのですが、10年後は1万6000人に。「これだけ人口減の激しいところでよくビジネスしているな」と言われるのですが、単純に今の時代だからできることがいろいろあります。最近は海外からの取材や視察も多くて、地方で事業を興すということがいろいろな波及効果を生んでいて、オモシロいと思います。そのひとつのきっかけとなったのが『里山資本主義』という本。「東大生が一番読んでいる本」なので、ぜひ皆さんも読んでみてください。


里山資本主義日本経済は「安心の原理」で動く
著者 藻谷浩介、NHK広島取材班KADOKAWA843円

 

地域で仕事を作るための4つのこだわり

僕が地域で仕事を作るために一番こだわっているのがこの4つです。

① 異なる目線を入れる(多様な常識をもつ)

② モノ・人・事の長所をみる

③ チームを創る(巻き込み力)

④ 小さなチャレンジを沢山!

実際やっているのは6次産業的なことで、農業、加工業、販売などのサービス業。その中でうちのジャム屋に年がら年中、果物が入ってくる仕組みを作っています。だいたい、みかんの産地だと、「うちもみかん農家になって、みかんを搾ってジュースを売ろう!」という発想になると思うのですが、そうではなくて、地元にみかん農家があるなら、違う品種を作った方がいいよね、と考えています。コンペティター(競合相手)を増やすより、一緒に仲間になっていく方が協力しやすいので、みかん農家さんと仲良くしようと取り組んでいます。

皆さん、加工用みかん(ジュース用)って、いくらくらいで取引されていると思いますか?普通の、生食用はうちの島だと1kgで250~300円くらい。それに比べ、ちょっと大きい・小さい、色づきがよくないなど中身は同じでも、見た目の問題で加工用になるみかんはキロ7円か8円。ジュースにするには加工場へ持って行かないといけませんから、そんな金額ではガソリン代にもならない。それでは息子さんに家業を継がせようとは思うはずもないので、うちでは加工用みかんでもキロ100円で必ず買い取りましょうとか、さらにジャム専用に作ってくれるなら生食用より高い金額で買い取りましょうという取り組みをして、農家さんにとっていい循環をつくっていくようにしています。

みかんを作らないなら、会社の農業部では何をやっているかというと、地域の農家さんたちが作らないけど、ジャム屋として欲しい果物を自分たちで作っています。実家がお寺で何が良かったかというと、妻が法事で門徒さんのところへ行くと、柑橘農家さんが多いので、どの時期にどの柑橘が採れるか全部ヒアリングしてこれるのですよ(笑)。それをもとにジャムの原料探しをやって、今は年間180種類くらいのジャムを作っています。一方、夏のシーズンには島に果物がなかったので、じゃあ、ブルーベリーを自家農園で栽培しようといった具合に地元の農家さんと競合しない栽培品目を選定して営農しているのが当社の農業部です。

工房を構えたからには「夏は果物がないので、みなさん休み!」ってわけにはいかないので、工房の稼働を続けるには仕事を作らないといけない。そのため、年がら年中なにかしらの果物が入ってくるような仕組みを作るために、島でイチゴが手に入らないならイチゴを作るというように試行錯誤しながらやってきました。

そうやって、地元の農家さんにもメリットのあるような仕組みを作ると、「うちのところで作ったキウイが、あの店でジャムになっている」と、お盆シーズン、親類縁者が帰ってきたときに店に連れて来て、「これだ、これだ」と言って、みんなに買わせるわけですよ。こういうご縁も仕組みも地域ならではだと思います。

実はジャムというのは作っても「そんなに売れない」という定説のある商品なのですが、そういうものでも売り方や、どういう商品を作るかによって、売ろうと思ったら売れるわけです。15万本作っているジャムの6割はあの島で売っています。もちろん広島や東京などでも売ってもらっているのですが、なぜ売れているかというと、大手メーカーさんがやっていないジャムづくりをしているからです。

例えばはっさくでは、北斜面のはっさくと南斜面のはっさくでは甘みが違う。北斜面の八朔はジャムにしても酸味が抜けない。抜けないなら酸味を活かして、レモンティーをイメージし、紅茶で煮たジャムにしようとか。寒い日が続くとはっさくに苦みが出るので、苦みを活かしてチョコレートであえてジャムにしようとか。均一な味を目指した加工品とは違って、その年、その年のヴィンテージ商品のようなカタチで作っているところが大きな違い。生産量は15万本で、180種類ありますから、単純計算で1種類800本あるかないか。それぞれが「今、買わないと同じ味はないですよ」と限定商品的なイメージで販売するのが、地域商品の販売戦略として有効などだと思います。

 

地域の連携があってこそ成功する人を呼び込む作戦の数々

観光にしても移住にしても、「まずは人を呼び込もう」ということで始まったのが「定住促進協議会」と『島くらす』の活動です。行政と民間が両輪となって周防大島へのUIターンをサポートすることで、居・職・住の情報提供や地域社会との交流など、様々なバックアップを行ってきました。ただ単に移住者を呼び込めばいいというわけではなくて、来た人を含めて地域に「なりわいをつくっていく」という目的のため、島の人も参加する浜辺清掃をやっています。

浜辺清掃は地域の人と移住者、移住しようかなと思っている人を含めて、一緒に活動する「交流の場」なのです。移住希望者が訪ねてきて、机に向かって「何がしたいんですか?」と聞いても本音は出てこない。それよりも一緒に作業する中で「あとでビールでも飲みますか」なんて話をしながら、「この人なら入ってきてもいいな」とか「あそこに空き家があるから紹介してあげようか?」と、お互いの本音を聞ける方が有意義ですよね。

こうした経験も踏まえて、島では今でも定住促進協議会が主体となって移住ツアーをやっているのですが、全国でも珍しく、毎回満員御礼の人気ツアーで、これまでに19回やって、参加者の3分の2が移住して、島で何かしらのなりわいを作っているという、非常にヒット率の高いツアーとなっています。

浜辺清掃によっていろんな人とのつながりをつくっていく中で、新しい産業の芽を見つけることができます。例えば、さきほど「ブルーベリーは自社で栽培している」という話をしましたが、ブルーベリーは熟れるタイミングが一粒ずつ違います。農薬を使わなくてもできるので、栽培はとても簡単。素人でも植える時の土質と水やり、日当たり、肥料もちょっとやれば、間違いなくできる。ただ、真夏に熟れた実を一粒ずつ収穫するのは大変な作業で、実質、朝の涼しい時間帯の2~3時間しか作業ができない。つまり、一社でブルーベリー畑を拡大したとしても、生産量(収穫できる量)は限られるということです。

それでうちがやり始めたのは、定年退職で戻ってきた人や畑を持っている人に、ブルーベリーの苗木をタダで配って、「収穫してうちに持ってきてくれたら買い取りますよ」という作戦。その契約を結ぶ『ブルーベリー研究会』というのを立上げて、実際に植え方の勉強とかもするのですが、たまに集まって飲むということの方が多いですね(笑)。できる範囲で育ててもらえたらいいんですが、人間、欲が出て、育て過ぎちゃうんですね。それで今度はそのブルーベリーを収穫するために、障害者支援施設の人にも手伝ってもらうことになり、今では彼らの収入にもなり、働く喜びを感じられる仕事となっています。なりわいがなりわいを生み、僕が移住したとき、島内産ブルーベリーは0でしたが、昨年は2トンになりました。

それから、観光についてですが、周防大島のお隣は宮島で、ガンガンに観光客が来ているのですが、うちの島は特に観光要素がなかった。そこで島の飲食店が集まって観光協会主導で「名物料理を作ろう」ということで作ったのが「みかん鍋」です。

「何これ?」って感じですが、生のみかんが入っているので柑橘の香りを楽しみながらいただける海鮮鍋で、もちろん美味しいです。最近のフルーツ鍋ブームやこのインパクトがメディアを刺激して、冬になると、このみかん鍋がよくメディアを騒がしています。それで取材に入ったクルーは「みかん鍋以外にも島に何かないか?」ということで、他の店も取り上げてもらえる。要はうちの島を知ってもらうフックツールとしてみかん鍋はとても機能しています。


周防大島ドットコム http://www.suouoshima.com/syokuji/tachiuo.html

あとは海産物。うちの島のまわりでは太刀魚はよく獲れるのですが、足がはやいので、島に来て食べてもらえるよう、観光協会で商品化しました。「ふぐ」のように丸い大皿に盛り付け、太刀魚の外皮がキラキラ輝いているので料理名は「鏡盛り」と名付けました。しかし、知名度がない。そこで山口県といえば下関のふぐは有名なので「ふぐと同等レベルのものですよ」と県知事に宣伝してもらおうと、『西(下関)のてっぽう(ふぐ)、東(周防島)の刀(太刀魚)』というキャッチコピーをつけて知名度アップを狙いました。

周防大島は日本の中でハワイへの移民を一番多く出した町でもあります。それでハワイのカウアイ島と姉妹島にもなっていて、小学校や中学校では体育祭の時にフラダンスの演目があったりとか、郵便局の職員などが夏休み期間中になるとアロハシャツを来ていたりとかしていました。しかし、地域にお金を落とす仕組み(産業)にはなっていなかった。この10年間、これも観光協会主導で「瀬戸内のハワイ」と打ち出し、地域全体のビジネスにしていこうと、フラダンスを使ったまちおこしに取り組んできました。


山口県の観光・旅行情報「おいでませ山口へ」
http://www.oidemase.or.jp/tourism-information/spots/16329

具体的に島では何をやっているかというと、夏休み期間の毎週土曜にサタデーフラ、通称「サタフラ」というイベントを開催しています。島には生の芝生に椰子の木がはえているというロケーションがあって、そういうところで「踊ってみませんか?」と全国のフラダンス教室に招待状を送っているのです。招待状といっても交通費も宿泊費も出ません(笑)。多くの一般的なフラダンス教室って、ビルの中で鏡の前で衣装を着けて踊っていると思います。しかし、「誰かに見せたいわね」とか、「芝生の上で、大空の下で踊ってみたわ」とか思うのがダンスをしている人の心情だと思います。でもハワイに行くにはお金がかかる・・・それなら、岩国空港から1時間くらいだし、招待状も来てるし、行ってみようか!という心理に訴えかけて、去年の夏のシーズンには120ものチームが来てくれています。1チームだいたい10人以上が宿をとってくれるし、それを観る観客も含めて食事やお土産、宿泊など島に経済的循環を起こしてくれる。

★サタフラ 2019年は7月20日~8月31日の毎週土曜開催予定。
デイステージ13:00~16:00、ナイトステージ18:00~21:00。
問合せ (一社)周防大島観光協会TEL: 0820-72-2134

このようにいろんな取り組みで交流人口が増えています。話を聞いていただいた方の中には「そんなみんなで面倒なことしなくても、東京の百貨店に自分の会社の商品だけ置いてもらえばいいじゃない」と思う人もいるかもしれませんが、例えば1000円のジャムだと、流通でだいたい3~4割の手数料がとられるのですね。となると600円くらいの中から利益を出さないといけない。それよりも地元に来て買ってもらえれば、そのまま利益になる。そう考えると地域の他の事業者さんたちと協力して、地域に人を呼び込む方に力を注ぐ方が地域経済にとってもメリットが大きい。

こうした取り組みで、10年前までは交流人口が80万人くらいだったのが、106万人になって、25%増えました。いろんな事業者がいろんなことをやって、全員で集客しているというのがうちの島の一番の強みです。一人一人のチャレンジ自体は小さくてもみなさんの事業を連携させることでさらに面白いことができる。それこそが未来を支える地域力につながっていくんじゃないかと思います。