あけましておめでとうございます!
ついに2019年、平成最後の年を迎えました。
「今年こそ田舎暮らしを始めたい!」と意気込んでいる人も多いのではないでしょうか?
しかし、以前に比べると地方移住にはっきりとした目的や目標をもって移住先を探す人が減っているように感じます。その反対に増えているのが「なんとなく田舎で暮らしたい」というぼんやりと田舎暮らしに憧れる人たち。いわゆる漠然層が多く、ふるさと回帰支援センターで行われる移住セミナーでも漠然層をターゲットに田舎暮らしにかかるお金や地方の人間関係などをテーマにしたものが増えています。
そこで移住について、四国の右下エリアでの暮らしについて実感してもらえるよう、現在に至るまでの約40年間、お世話した移住者の数は200人を超え、定住率は100%を誇る徳島県移住アドバイザーの小林陽子さんに『移住成功の極意』を伺いました!
これまで何人もの移住に携わった小林さんに、スムーズな移住のコツとは・・・。
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徳島県移住アドバイザー 小林陽子
1950年徳島県海部郡日和佐町(現美波町)生まれ。関西へ進学し、結婚。1983年にUターンし、作家・瀬戸内寂聴さん主宰の『寂聴塾』に参加。寂聴さんとの長年の交流とパワフルな生き方が注目され、2018年春に日本テレビ『人生が変わる1分間の深イイ話』に取り上げられ、寂聴さんの愛弟子として話題を呼んだ。現在は総務省過疎対策委員も務める。
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極意その1
1年間は静かに暮らすこと

いきなりやる気を削ぐようですが、私は移住する人には「1年間は静かに暮らして」と言います。地域のために役に立ちたいとか、特別なことをしたいと張り切る人もいますが、まずは自分の生活を安定させることが最優先です。移住したすぐはATMがないとか、大きなスーパーがないとか、都会のモノサシで町を見ます。時間、距離、セキュリティ、いろんな感覚が都会とは違います。環境・水・方言などの変化に慣れず、体調を崩す人が多いです。まずは家や生活を整え、地域の中で知り合いを増やし、人関関係を知ることが大事ですね。田舎へ行くと1年間は目立ちますよ。2~3年もたてば馴染みます。慣れて、馴染んで、それから地域のことを考えたり、やりたいことやってください。
極意その2
田舎にはプライバシーはないと思え
個人情報とか、プライバシーを気にする人は、あんまり田舎には向いてないですね。ご近所には冷蔵庫の中身まで知られていると思ってください(笑)。移住者に興味津々で「どこから来たの?」、「仕事は何をしているの?」、「どうしてここへ来たの?」は必ず訊かれる質問の3本柱です。悪気はないのです。訊かれると思い、答えを準備しておきましょう。それから外出する時、ご近所さんから「どこいっきょんえ?(どこに行くんですか?)」と声をかけられることが多々あると思います。いちいちどこへ行くか答える必要はありません。そういう時は「ちょっと」と笑顔で言えば大丈夫。何か話さないといけない時はお天気を話題にすればいいです。町の行事への参加や集落への集まりなど苦手な人もいるでしょう。移住するときに相談した自治体の人やご近所や集落の長に、前もってサラッと相談しておきましょう。そういうコミュニケーションにもすぐ慣れますから、田舎ならではの距離感を楽しんでください。
極意その3
家探し、移住はできたら1、2年かけるつもりで
田舎暮らしのいいところは家賃が安いこと。徳島県では安く貸してもらう代わりに改装費を借り手が負担して、自分好みにリフォームするというやり方が大分浸透していますね。田舎でも不動産屋さんがある地域もありますが、役場に相談すると空き家を紹介してもらえます。相談してすぐにいい物件が見つからなくても、希望を伝えておいて時々連絡しましょう。希望の物件が出たら知らせてくれるので、ご近所がどんな方か、地域の特性も含めて1~2年かけてでも自分が「いいな」と思う家をじっくり探した方がいいですね。徳島は台風が来るので古民家は雨漏りが要注意ですよ。シロアリの被害も含め、改修ヵ所を貸主か借主のどちらが直すか、まずよく相談してください。改修費用の補助がある自治体もあるので、上手に活用するといいですよ。
極意その4
お金の準備はできていますか?
移住相談の際、失礼承知で「お金ありますか?」とお訊きするようにしています。「田舎へ行けば家賃も安いし、何とかなるだろう・・・」ではダメですよ。引っ越しや車の購入など、結構費用がかかります。それに仕事はありますが、都会ほど給料がもらえるとは限りません。環境の変化で体調崩したり、何がおこるかわかりません。移住した場所に、困ったとき頼れる人がいるかは大事です。知り合いや身内で相談できる人がいるといいですが、見ず知らずの土地へ行くのであれば、ある程度しばらく生活できるお金の用意はしてきて下さい。特に起業されたい方、いろいろな支援制度はありますが、資金を蓄えて、それなりの準備はしてきてください。
極意その5
一生過ごすと思わず、軽い気持ちで移住せよ
最近「田舎暮らしが向いてないと思えば都会に帰ればいい」って思ってます。私も都会からUターンして40年近くなりました。今はインターネットで欲しいモノも情報もすぐ手に入るし、気軽にどこへでもでかけられます。「一生住まなくては!」なんて、そんなに重く考える必要はないですよ。今は「田舎で暮らしたいな」と思っていても、この先どうなるかは、わかりません。そんなに覚悟して来なくてもいいんです。自分自身やご家族が「ここで暮らしたい」と思える場所を見つけられることが一番です。「徳島がいいな」と思ったら一度遊びに来て、田舎のよさや人のよさ、生活を体感してください。お待ちしています。