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日本のお山に帰りたい~岩本さんが加茂谷で協力隊になるまでの話③~

この話は、阿南市加茂谷の地域おこし協力隊・岩本昌子さんが、なぜ、徳島に来たのかを本人が綴ったエッセイです。

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第三回 大根おろしが食べたくて…

 

「日本の山に帰りたい」と思ったのは、恐らく米国暮らし8年目にしてようやく車を運転して遠出するようになり、「アメリカの山々」を見るようになったからかもしれない。

そう、山は山。米国にだってもちろん山はある。沢山ある。

でも「違う」のだ。

植生のせいか、地形のせいか、とにかく日本とアメリカの山は違う。同じような高さで同じような形の山で比べてみても違うのだ。

それを一度自覚してしまうと、もう日本の山々がとても恋しくなった。

思い浮かぶのはいつも、3つか4つぐらいの時から田舎の裏山の茂みやため池の周りを一人で歩き回っていた光景だった。

 

同時に、それまで8年間毎日のように食べても全く問題もなかったピザやハンバーガーやチーズやパスタに、突然「飽きた」。びっくりするほど自然にそれらに対して食欲がなくなり、代わりに筑前煮やふろふき大根が無性に食べたくなり、家では土鍋で玄米を炊き始めた。

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さて、ワシントン市はありがたいことに都会である。しかも郊外にはありとあらゆるアジア系の多い地域があり、特に全米でも最大のコリアン米国人が集まった地域があった。コリアンマーケットやチャイニーズ・スーパーに行けば日本の野菜は勿論、食材も調味料も、冷凍食品までも大抵なんでもある。値段は日本の安売りスーパーに比べれば少しかさむが、自宅のアパートから一番近いスーパーがセレブ御用達の超お高いオーガニック系スーパー「ホールフーズ・マーケット」だったので、どっちにしてもお金は飛ぶのだ。

ただし、これらのアジアン・スーパー、車で片道1時間かかった。国土自体が馬鹿でかい米国なので、これでも遠くはない。米国の内陸部に住んでいるような日本人ならば、片道3時間とかかけて日本食材を買い求めるのはざらなのだ。

 

片道1時間かけてまとめ買いして来た野菜は、自宅に帰ったらすぐに冷凍保存だ。

半日かけて冷凍用に大根やら人参やらを剥いたり切ったりの作業に勤しみ、疲れ果てながらも好物の大根おろしを食す。頭のなかには日本のお山の陰がちらついている。

 

「大根おろしぐらい、もっと気軽に食べたい。。。」

 

日本帰国を決めた。